
「お父さん!スマブラやろ!絶対負けへんから!」
突然の挑戦状を叩きつけてきた小僧。
でもな、お前は知らんのやろ?
こっちはロクヨン時代の初代スマブラー。
んで格ゲーで、
近所のゲーセンブイブイいわしてた猛者やぞ?
しかも僕がゲームする姿、息子は見たことない。
つまり──完全に父をナメてた。
■ 初戦──開始10秒で勝負あり
「レディー……GO!」
\ドォォォォン!!/(10秒後)
👦「……は?」
👨「うん、負けやね」
👦「え?え?今のなに?」
👨「君が空に飛んでった音や」
もはや会話も成立せん。
ちなみにここまで、操作説明ゼロ。
スパルタとかじゃない。リアル社会の厳しさ教育や。
■ でもな、この小僧、諦めへんのよ。
👦「もう一回やる!!」
👨「今ので心折れへんのすごいな」
👦「負けたまま終われるかぁぁぁ!!」
そこから始まった毎晩のスマブラ道場。
・負ける
・怒る
・泣く
・でも挑む
これを繰り返す、修行僧のような小僧。
僕はというと、完全に道場の館長。
毎晩ガチで戦いながら、ちょっとずつ手応え感じてた。
■ そして──ついにその瞬間が来た
何度目の対戦かは覚えてない。
でもその日は明らかに違った。
よける。攻める。投げる。
まさか…これ、ヤバい?
\ドォォォン!/
僕のキャラ、ステージ外にふっ飛んでいった。
画面には「GAME SET」。
息子、固まる。
「…………」
「…勝った」
(3秒後)
「お父さんに勝てたぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
もうね、雄叫び。
ジャンプ。変なステップ。ガッツポーズの連打。
嫁は爆笑しながらスマホで動画撮ってた。
僕はというと──
なんか、目頭に違和感あった。
■ その姿、どこか嫁にも似てて
あいつな、ほんま負けず嫌いで。
泣いても諦めへんし、やられたらやり返すし。
でもそれを「見せたる!」って堂々と出すとこ、
なんか嫁にそっくりやってんな。
うちの嫁も筋金入りの勝ちたがり。
じゃんけんにも本気。UNOでもキレる。
その血、よう受け継がれとるなーって思った瞬間、
なぜか胸がギュッとなった。
なんやろな──
「家族ってええな」って、思わされた。
エンドルフィン、ドバドバや。
■ なお、その代償。
その後も調子に乗った小僧は、毎晩スマブラ三昧。
で、どうなったかというと──
コントローラー4本、スティック破壊。
「壊れた」ちゃうねん。
“内部を破壊した”が正しい。
まさか北斗神拳の伝承者やったとは。
しかもそれを修理するのは──
この僕。
修理キット代も僕。
夜な夜なネジ回しながら思う。
「俺、なんの罰ゲーム受けてんねん……」
トドメは嫁の一言。
「負けたらへんから壊れたんやで?」
いや…どっちが悪なん、これ?
勝っても壊れる。負けても壊れる。
世知辛すぎるて。この家庭。
■ で、今はというと…
……で。
その後も毎晩スマブラ修行に明け暮れた小僧は、
ピカチュウを使いこなし、マリオを華麗に操り、
いつしか父を軽く捻るレベルに進化しました。
最近なんか、こっちが本気出してもボコられる始末。
👨「うわ、また負けたやん…」
👦「2ストック差やけど?」
👨「あの“悔しがってたお前”はどこ行ったん?」
👦「そんな時もあったなぁ(ドヤァ)」
君、ずいぶん成長したんやね。
たかがゲームかもしれん。
でも、この日から確かに“何か”が変わった。
成長は嬉しい、でもなんか複雑や。
かつてコントローラー4本を破壊し、
僕の精神と財布を同時に削った小僧。
今や「お父さんも頑張ってるんやけどなー。
でももうちょい練習してから出直してきて?」
とか言うてくる。
もう一周まわって清々しいわ。
ありがとう息子、今日も完敗です。





